大統領予備選でオバマが大方の予想を覆し、アイオワでクリントンに圧勝し、ニューハンプシャーでも、世論調査ではクリントンを10ポイント程度上回る支持を集めているようだ。まだどうなるかは分からないけれど、恐らく民主党が次回の大統領選に勝利するだろうから、オバマ vs クリントンが事実上の決勝戦になる。そもそも共和党の候補はどれも似たようなオッサンばっかりで、選挙という戦いを演じるには余りにも役者が揃わなさすぎる気がする。
オバマが勝てば史上初の黒人大統領。クリントンが勝てば史上初の女性大統領。どちらが勝ってもBig Switchだ。
クリントンは自らの「経験」を強調し、オバマは「変化」を起こすと主張している。自分はと言うと、シリコンバレーに身を置く者としては、自然オバマ支持になる。自分だけでなく、インターネット政策に関して先進的な政策を持つオバマの支持はシリコンバレーでは非常に高い。
ちなみに、TechCrunchによると、オバマはMySpaceに212,000人も友達がいるんだそうだ。彼はまだ46歳と若く、早くからSNSを取り入れた選挙戦を展開していた。
オバマのインターネット・テクノロジー関連政策はRauru Blogによくまとめられていたので、下記引用する(一部省略)。
- Internet と多様性あるメディアによって自由な情報交換を促進する
- Internet のオープン性を守る (Net Neutrality の確保)
- メディアの寡占を防ぐ
- 子供を守ることと言論の自由とを両立させる
- プライバシーを守るためのセーフガードを構築する
- 開かれた政府を目指す
- 政府の情報や意思決定過程をオンラインで公開し、市民の参加を促進する
- 連邦政府にCTOを置き、新技術の導入を推進する
- 通信インフラの整備を強力に推進する
- 今の連邦政府は200kbpsをブロードバンドと呼んでいるが、再定義する
- ユニバーサルサービス基金を音声通信維持ではなくブロードバンド普及のために作り直す
- 無線周波数の開放を進める
- 学校/図書館/家庭/病院へのブロードバンド普及を促進する
- さまざまな問題を技術革新によって解決する
- ITの導入により医療費を抑制する
- 地球温暖化抑制のためにクリーンなエネルギー源を開発・導入する
- 教育を、21世紀の社会が求めているものに合致させる
- 技術革新を、コストの低減だけではなく、雇用の創出にも役立てる
- 災害対策にも新技術を導入し、カトリーナのような無様な失態を防ぐ
- アメリカの競争力を高める基礎科学分野への助成を増やす
- 企業の研究開発費への減税を恒久化する
- H-1Bなど移民政策を見直し、優秀な頭脳の流入を促進する
- アメリカ企業の海外での活動を助ける
- 市場競争を高める
- アメリカの知的所有権を海外で保護する
- アメリカ国内での知的所有権、特に特許制度を大幅に改革する
国としてこのような取り組みを行ってくれれば、どれほどの利益が産業界(インターネット業界だけなく)にもたらされるか知れない。上記に書いてあることで異論があるものはほとんどない。全ては競争力確保・強化、及びユニバーサル化(デジタル・ディバイドの解消)につながる。
アメリカにいて感じるが、この国では国民の政治意識は非常に高いし、各候補者の情報提供も非常に積極的かつ効果的に各レイヤーの人々に届けられている。
本題から外れてしまうが、前回の参院選に東京で立候補した神田敏昌氏によると、日本の選挙では、候補者は選挙ポスターを40cm×420cmという特殊な紙で作らなければならず、印刷コストが非常にかかってしまう。A3 とかB4とか既存のよく流通している紙でやればいいものを・・。ちなみにこの規定は昭和37年から変更なし。これを都内14,000ヵ所(この場所も戦後から変更なし)の看板に候補者が一箇所一箇所、張っていかなければならない。神田氏の「それって、看板作っているところにポスター集めて、ポスター貼ってから看板立てた方が全然楽じゃん!」という突っ込みに対する総務省・選挙課の回答は全く要領を得ないまま・・。日本の役人の前例踏襲主義の極み。自分がやっていることを改善しようというマインドがないのがはっきり分かる。
下記、総務省とのやり取りMP3ファイルは必聴。
< http://kandatoshiaki.jp/mp3/20070719.mp3 >
< http://kandatoshiaki.jp/mp3/20070720.mp3 >