「コールオブデューティ4(COD4)」(プレイステーション3、Xbox360)に関する記事(http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000021032008)を読みながら、もしかしたら、インターネットの歴史で検索(ポータル)→SNS→??の、??に来るものを思いついたかもしれない。
このゲームの仕組みはこの通り。
プレイヤーはゲームの展開に応じて経験値を獲得する。その経験値が蓄積すると、階級が上がる仕組みになっており、二等兵から始め将軍になるまでの55段階に分かれている。
一つ一つの対戦のゲームプレイは10分程度で終わるものだが、勝っても負けても、働きに応じて一定の経験値は獲得できる。時間をかければ、誰でもいつかはレベルアップする。
階級が上昇していくと、最初は選択できない新しいゲームモードや、使える武器が増えていく。また、階級に応じて達成すべき目標が様々に設定されている。それぞれの武器で規定の敵を倒すというものだったり、「しゃがんで倒す」「手榴弾で倒す」といった具合に数十種類もこと細かくあり、それをクリアするたびにボーナスの経験値を獲得できるというルールになっている。
つまり、プレイヤーの選択がありとあらゆる側面でデータとして蓄積され、経験値を上昇させ、より幅の広いプレイをするようにゲームシステムの側がやんわりと強制するような仕組みになっているのだ。その階梯が実に緻密に設計されているから、思わず続けたくなってしまう。
インターネットの世界では、いかに人々をAddictさせるかが非常に重要で、その手法の変遷として検索があり、SNSがあった。検索に関しては、ユーザのインプットに対し、いかに関連性の高いコンテンツを提供するか、もっと言うといかに関連性の高い広告を表示できるかがキーであり、インターネットにおける滞在時間は短かろうが、その「結びつき」こそが肝だった訳だ。SNSに関しては、人の「つながりたい」欲求にどんぴしゃでアプローチし、ユーザのページ滞在時間を著しく向上させた。余談だが、結果、インプレッションの大幅な上昇とそれに伴う広告単価の逓減を引き起こし、既存のポータルは従来通りの広告収入が得られず、大変は収益力が低下している。
で、SNSの次に来るものは何か?
個人的は、上の仕掛けにヒントが隠されているような気がする。記事でも触れらている通り、カギとなる要素は、「自分の行為の結果の数値化、データ化」である。皆も(特に男子諸君)経験があると思うが、
自分がどこまで目指そうと目標を設定してプレイしているときに、強い熱中状態が生まれる。ゲームがオリジナルのゲームの意味を超えて、別のゲームに、いわばメタゲーム化するときである。
古くはゲームセンターで特定のゲームのハイスコアを目指してみたり、それをいつまでも維持できるようにがんばってみたりする。それで得られるものは何かというと、ほとんど自己満足に過ぎないが、強いモチベーションとして機能する。
ということだ。彼らが行っている“工夫”は、「大量の評価軸を提示し、プレイヤーが様々な結果を生み出すことに価値を感じられるようにしてある。プレイヤーがオンラインプレイの何をやっても、何らかの実績に関係のある得点へと変換され、なんだか意味があるような気分になる仕掛けがしてある」という点だ。
自分の行動がポイント化される。もっと貯めようとモチベートされる・・。この気持ちはすんごいよく分かる。これったインターネットの世界にも応用できそうだ。既にこんな例が挙げられている。
ゲームデザイナーのジャスティン・ホール氏のベンチャー企業GameLayersは、「Passively Multiplayer Online Game(受け身のマルチプレイヤーオンラインゲーム)」というサービスのベータ版をスタートしている。これは、ブラウザーのFireFox用のプラグインとしてリリースされたゲームで、ウェブ上をネットサーフィンしている間に様々な情報を蓄積していき、それをゲームのデータへと転換していくというゲームだ。
ユーザーは「データポイント」という通貨に当たるものを蓄積し、職業を選択する。そして与えられた仕事をネットサーフィンしながらクリアすることで経験値をため込んでいく。ユーザーのネットサーフィンという日常生活自体を、ゲームという枠組みに取り込もうという狙いだ。
Googleなどの検索エンジンが一般化し、ネット上のデータを収集する仕組みは定着した。一方で、同じようにどこかから集めたデータをゲーム的に点数化し、別のモチベーションを喚起させる試みも一般化が進もうとしている。
今はソフトウエアを中心に行われているが、いずれはハードウエア、例えば掃除機のようなものにも実績システムが組み込まれるようになるのではないだろうか。「前日よりカーペットのダニの量が少ない状態を5日続けたら、10ポイント」といった具合に。
ありとあらゆるものに実績システムが組み込まれるような時代がやってくるのも、そんなに遠くない気がしている。
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