2週間ぶりの更新。。
かなり前のニュースになってしまうが、NYTimesの記事の通り、BT、Carphone Warehouse、Virgin Mediaという英大手キャリア3社が、ネット広告配信プラットフォームを持つPhorm社との提携を発表した。Phorm社の持つユーザトラフィックのトラッキング技術を利用することで、キャリアは自らの顧客が、どのようなサイトにアクセスしたかの履歴を得ることができ、各顧客の属性、性向にあった広告を打てるようになる。いわゆる"Personalized Ad"だ。
キャリアグレードのトラフィック解析を行っている会社はシリコンバレーにも数社あり、既に大手ISPと提携しているところもあり、一定のStreamを形成している。
その根底にあるのは、インターネット広告の主導権を握りたい、といういわばインターネット広告の覇権争いでもある。この分野は(Googleは言うまでもない)いわゆるインターネット広告代理店やらアドネットワーク会社がイニシアティブを取っていたが、こうした技術を用い、キャリアが実際に自分のネットワーク上を流れるユーザのパケットを解析することで、広告主がのどから手が出るほど欲しいであろう、個人の興味・消費性向を手に入れることができる。よって、代理店のようなビジネスモデルは成り立たなくなる。しかし、大手Webパブリッシャーの広告スペースは価値を失わないどころか、個々の属性に合わせてPersonalizeされるわけだから、むしろ価値は向上する。これをキーにキャリア・大手Webパブリッシャーの提携・合併のような大きな流れが生まれるような気がしてならない。もちろん、インターネット広告業界地図もがらりと変わるだろう。
ユーザにとっては、自分のWeb履歴が監視されているという不安があるかもしれないが、この手のサービスはセキュリティ対策にかなり気を使っている。そうでなくても、ユーザに自分の履歴を公開するか非公開にするかの選択肢を与え、公開を選んだユーザには月々の接続料を半額にする等のBenefitを与えれば、かなり普及すると思う。
トラフィック解析の技術は恐るべき速さで進歩している。