前々から電子書籍には大きな期待を抱いており、個人的にStudyしたりしていたが、「本命」誕生で、自分の考えていたことがいよいよ実現されるんではないかと思う。
「考えていたこと」とは書籍あるいは雑誌の広告価値の増加である。
Kindleのような通信機能を持った電子書籍端末には広告の配信が可能になる。出版社にとってみれば、書籍から収益をあげるには、今までは「販売」による売上しかなかった。書籍には基本的に広告は入っていないが、例えば「地球の歩き方」や「るるぶ」のような「情報系」の書籍に対する広告挿入はドンピシャではまるはずだ。現状は「国際携帯電話」や現地の旅館のようなとってつけたような広告しかないが、世界各国あるいは日本各地の観光関連の広告在庫を多数保有し、そこからロケーションベースの広告配信を動的に行えば、書籍販売による収益にプラスし、大幅な広告収益の拡大を見込むことができる。
雑誌にしても、今後、電子版での購入が進めば、ファッション誌であれば、購読即EC決済で手数料チャリンチャリンモデルが構築できるはずだ。また、広告主にとってみても電子書籍へ
Flashベースでの広告配信等ができるようになれば、よりImpressiveな形で購読者に対して訴求にできるし、与えられる情報量も圧倒的に増加する。
委託販売制という訳の分からない仕組みで守られた日本の出版業界はジリ貧なようで、一般企業並みの会計基準で決算を行った場合、かなりの会社が赤字になっていると言われる。岩波のような“名門”会社の経営もおぼつかないとされる。
かつ、さらに悪いことに、書籍のデジタル化に難色を示すお偉方が大勢のようだ。自分たちは「活字文化」を担っているのであり、インターネットのような訳のわからぬものに自分たちのコンテンツを流したくない、というわけだ。一般消費者が求めているのは書籍という形ではなく、コンテンツなのであり、形ではないのだ、ということをまったく分かっていない(とは言いながら、以前のエントリでも書いたように、インターネットの世界もこうした人たちからも理解を得られるように、「行儀良く」ある必要がある)。
出版社のようなコンテンツホルダーがネットに対してオープン志向になると、収益機会も増える。ただし、今はまだKindleでさえモノクロでの表示しかできないが、端末の高機能化は一気に進み、数年後にはiPod Touch並みのリッチインターフェースを備えた端末が誕生するはざだ。
その時への備えを今からしている出版社は日本にあるだろうか?
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